宇野克明院長のご紹介

「いまを精一杯生きる」ことの大切さ…

1996 年、私は神奈川県の横浜駅近くにある、とある大学医局・関連病院に理事長として赴任することになりました。当初の2年間ほどは、開設者として病院の現状把握や将来の機能改善に注力しなければならず、自身の専門である外科/腫瘍免疫学研究に十分な時間を割くことが難しかった時期でもありました。

しかし、転機が訪れました。微力ながらも取り組んでいた私のがん免疫研究が、テレビメディアの取材を通じて全国に放映されることになったからです。そして、それが契機になってがん免疫治療に希望を託した人々からの診療依頼も急増し始めました。
そしてこの時、こうした現状を見ていた母校医学部の二人の恩師から、刺激的な提案を受けることになりました。それが、「健康保険の制約によって、大学病院では実施できない“新たながん免疫治療”を確立させてみてはどうだ」という、当時としては革新的な助言だったのです。

もちろん、当時は病院経営と研究者としての両立にとまどいもありました。しかし、躊躇しているだけでは何も始まらないと自分に言い聞かせ、1998年に免疫研究センター/腫瘍免疫外来を本格的に立ち上げたのです。そして、その過程で開発に至った統合腫瘍免疫検査システム、「イムノドック(現・リスクチェッカー検査)」が、当時の免疫研究に新たなエビデンスを提供し、いまに至る斬新ながん免疫治療技術の向上へと大きく寄与していったのです。

振り返ってみれば、こうした当時の経験は「いまを精一杯生きる」という私の信念を具現化したものだったのでしょう。なかでも何より心に残ったのが、ある患者さまが治療を終えて退院する日に笑顔で言われた「ありがとう」の一言でした。そしてこの瞬間、私にとって25年間の免疫研究/治療経験が、計り知れない価値を持った時間となったのです。

しかし、私たちの取り組みは「まだ、まだ」終わりません。
今後もさらなる進化と成長を目指し、がん免疫治療の研究と実践に全力を注ぎたいと存じます。
「変わらない為に、変わり続ける」という私たちの理念と、患者さまがいまを精一杯生き続けたいという想いは普遍的であり、決して諦めるものではありません。
これからも患者さま一人ひとりと共に闘い、「ありがとう」の言葉を頂くその日まで最善を尽くしたい。その思いを胸に、私たちはこれからも前進し続けます。

医療法人社団 東京 MIT理事長
東京MIT クリニック院長

医学博士 宇野克明

経歴

  • 1986年
  • 東海大学医学部医学科卒業
  • 1986年
  • 東京女子医科大学第2外科に入局、一般外科・救急外科を研修
  • 1988年
  • 杏林大学医学部第1外科/免疫班に転籍、外科手術と併せて腫瘍免疫治療研究に携わる
  • 1996年
  • 横浜市中区の医療法人財団より招聘されて理事長に就任。次いで、がん研究部門「免疫研究センター」と高度進行がん症例を対象とした「腫瘍免疫外来」を新規開設し、がん免疫治療を開始
  • 1999年
  • 免疫研究を基にしたがん免疫検査システム、「がん免疫ドック(イムノドック)」を開発
  • 2000年
  • 東海大学医学部第2外科(兼任)、主要組織適合抗原MHCを中心にがん免疫研究を継続
  • 2004年
  • 東海大学医学部基礎系生体構造機能学教室(兼任)、医学部基礎教育に11年間携わる
    がん免疫研究協力の業績により、ハルピン医科大学から名誉教授の称号授与
  • 2007年
  • 国連支援交流協会特別顧問に就任
  • 2012年
  • がん免疫検査ドックの上位互換システム、「リスクチェッカー」を開発
    新たながん専門医療施設、東京MITクリニックを東京八重洲に設立、初代院長としてがん免疫治療を継続
  • 2014年
  • 法人化に伴い、医療法人社団東京MIT/東京MITクリニックに名称変更、理事長/院長に就任
    MHCクラスⅠ研究に基づいた「ネオアンチゲン複合免疫治療」の提供を開始
  • 2016年〜2021年
  • 紺綬褒章授章(各年)